






self portrait type c
2022
ガラス、ウェット・コロジオン
89mm × 63mm
「大正時代の私」、「死んで遺影となった私」。
湿板写真でセルフポートレートを撮影した。ガラスを研磨するところから始めて、溶液の製作、撮影、現像、定着、洗浄、全てのプロセスを一つの小さな部屋で行なった。像を写した硝子板は、その撮像プロセスを再現内包しているような厚みを持つ。
硝子板を見て、「大正時代のように」、もしくは、「亡くなった遺影のように見える」と皆一様に言う。確かに、私はこの写真を2022 年に撮影した。私は大正時代にはいないし、私は死んでおらず生きている。だが、私は大正時代の人として、もしくは、亡くなった後の遺影として、私の目の前に現れている。
写真が別の空間を作り、その空間に像を現すものだということを、湿板写真は伝えてくれる。