











Watch the moments, step on the accumulations
2020
ミクストメディア
海岸線をぼんやりと眺める。
砂と水は微粒子の集まりである。地平線と水平線は、一粒一粒が溶けるように積層され、形作られたものである。私たちはその一粒一粒を大して気にせず、地平線と水平線を眺めている。
その粒はどこからきたのか。長い時間をかけて遠いところからここに辿り着いたものもあれば、ずっとここにあったものもあるだろう。
気候や時候、天体の運動や人間の活動、様々なものたちの関係によって、海岸線の様相は変わり続けている。星が動けば潮は滑らかに張り、風が吹けば波と砂は踊り、人が歩けば跡が残る。
このような変化の積層を、一つの時間間隔の中で撮影する。それは限りなく一瞬に近い時間であり、厳密には一瞬とはいえない。写真の時間は積層であり、私たちの目の前に現れてくる地平線と水平線の像は積層となる。
粒の集まりとしての姿形は、すぐに流されてゆき、すでになくなったものとなる。ただ、砂と水の一粒一粒はどこかに流れていき、どこかでまた姿形を表す。過ぎ去ったもの、過ぎ去っていくものの積層と一瞬が、淡く溶けている。